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上場に貢献!?大企業との資本業務提携でスタートアップが急成長した4つの型
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上場に貢献!?大企業との資本業務提携でスタートアップが急成長した4つの型

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こんにちは、M&Aクラウドの及川です。スタートアップのファイナンスやM&Aを支援しています。

いきなりですが、クイズです。下の3つの企業の共通点は何でしょう?

ENECHANGE株式会社
セーフィー株式会社
株式会社エクサウィザーズ

「最近、IPOした企業」と答えた方、それも正解の一部です。ENECHANGEは2020年12月、セーフィーは2021年9月、エクサウィザーズは2021年12月に、それぞれIPOを果たしています。

3社の共通点は、その他にもあります。ヒントは「アライアンス」です。

実はこの3社は、ビジネスパートナー兼資本提携先として、大企業と緊密な関係を築き、成長の足掛かりとしてきた企業です。いずれもIPO直前期において、株主でもある特定の大企業向けの売上が全体の10%を超えていました。大企業との付き合い方に長け、その力を存分に活用してIPOを果たした企業とも言えます。

大企業というと、スタートアップ経営者の中には「敷居が高い」と感じる方も少なくないと思いますが、大企業の中にも、新規事業創出、DX推進、他社との差別化といった目的で、スタートアップに関心を持っている企業はあります。スタートアップとは桁の違う予算、強力な販路、抜群の信用力などを持つ大企業と組むことで、スタートアップの成長スピードは一気に高まる可能性が出てきます。

さらに、資本の面でも提携すれば、スタートアップの企業価値向上が大企業にとっての含み益になるという共闘関係も生まれます。今、市況の悪化でVCからの調達のハードルが上がる中、スタートアップにとってシナジーの期待できる事業会社と手を組む価値は、一層高まっています。

では、スタートアップと大企業の双方にとってメリットが大きく、成功に結び付きやすいのは、どんな組み合わせなのか――上の3社の事例を紹介しつつ、その一端を探ってみたいと思います。各社のIR資料などを参考に、一部想像も交えて書いていきますので、あくまで個人の考察としてお読みいただければ幸いです!

ENECHANGE×東京ガス、Looop:囲い込み型

2016年の電力小売自由化に合わせて創業したENECHANGEは、電力・ガス料金の比較サイト運営、デマンドレスポンス(電力の需給バランスを調整する仕組み)等の電力会社向けDXサービスなどを展開。2018年に東京ガス、北陸電力、Looopなどを含む事業会社7社との資本業務提携を結びました。

7社のうち、有価証券届出書において、上場申請期の売上全体の10%を超える取引先に挙げられていたのは、東京ガスと新電力のLooopです。本来、比較サイトを運営するENECHANGEにとっては、エネルギー会社を株主に迎えることには、中立の立場を打ち出しにくくなるという懸念があったはず。それを押しても資本関係を結んだ背景には、おそらくですが、デマンドレスポンスの顧客先でもある東京ガスやLooopへの競合の参入を阻止する意図があったと推測します。また、東京ガスやLooop側も、デマンドレスポンスに強いENECHANGEとの資本業務提携において、何らかの競合優位性につながる条件を盛り込んでいた可能性も考えられます。

セーフィー×オリックス:ノンコア販売スキーム構築型

セーフィーは、監視カメラの画像をクラウドで管理するサービス「Safie」を展開。創業者・佐渡島氏の出身会社であるソニーのほか、キヤノンとも提携し、カメラへの組み込みOSを配布しています。防犯以外に、業務現場の遠隔監視目的などでも活用され、2014年設立の会社ながら、すでにクラウド録画サービスでトップのシェアを獲得しています。

オリックスは早くから同社に注目し、カメラを含む同社システムのユーザー向けに、リースプランを開発。オリックスを通じて、関西国際空港やゼネコン各社、飲食チェーン店などへの導入も決まりました。オリックスはその後、2017年のセーフィーのシリーズAラウンドをリードしています。

本件は、高額なカメラを必要とするセーフィーのシステムとリースとの相性のよさから、双方に商機が生まれたパターン。リース商品の開発には金融の知見が求められるほか、営業面でも節税効果の説明などリースならではのトークが必要になるため、オリックスの持つ専門性が力を発揮したものと推測されます。

セーフィー×NTT東日本:最強販売網獲得型

セーフィーの株主の中にはもう1社、上場前に売上全体の25%超を占めていた取引先がありました。NTT東日本です。

NTT東日本は、もともと自社の監視カメラサービス「ギガらくカメラ」を展開。2018年にセーフィーと業務提携を結び、セーフィーのプラットフォーム活用により、高画質・高音質の映像を視聴できる「ギガらくカメラ クラウドプラン」の提供を始めました。これにより、ユーザーは「116に電話して依頼するだけ」でセーフィーのシステムを利用できるようになり、NTT東日本の圧倒的なネットワークのもとで、販売数を飛躍的に伸ばしました

その後、2019年にはNTTドコモ・ベンチャーズがセーフィーに出資。同時に、セーフィーはNTT東日本との包括的な業務提携を結び、セーフィーの開発したAPIを活用して複数スタートアップの連携によるアプリ開発を行うなど、「ギガらくカメラ」以外にもさまざまな取り組みを進めている模様です。

下の記事によると、NTT東日本は、もともと農業や水産業などの人手不足解消に役立つIoTシステムの構築を目指す中で、データ活用面の課題に直面。専門技術に長けたパートナーを探していた際に、セーフィーとの出会いがありました。技術面で自社で解決できない課題を抱えていた場面で、社外の技術に突破口を見出そうとしたことが、連携のきっかけとなったようです。

エクサウィザーズ×アフラック生命:DX支援型

「AI×社会課題解決」を掲げるエクサウィザーズは、さまざまな業界を対象にしたAIプロダクトや顧客企業におけるDX人材開発支援などを展開。アフラック生命に対しては、人材開発サービスからスタートして支援領域を広げてきたようです。

2021年3月、エクサウィザーズは米アフラックのCVCなどから10億円を調達。同時に、アフラック生命との業務提携を締結し、新たにマーケティングの最適化を図る取り組みなどをスタートしました。

感染症拡大で営業活動のオンライン化が進んだ結果、アフラック生命社内には、大量のマーケティングデータが溜まっています。今回の取り組みは、これをAI分析し、ベストプラクティスの抽出・活用を図っていくもの。アフラック生命の売上向上を支援することで、エクサウィザーズの売上も上がる仕組みです。さらに両社は、アフラック生命が強い医療保険の分野で、リスクや保険料の計算に活用するサービスも共同開発する模様です。

アフラック生命は「DX@Aflac」と名付けたDX戦略を打ち出しており、日本での創業50周年に当たる2024年に向け、「コアビジネスの領域」「新たな領域」の双方での変革に取り組んでいます。昨今、多くの大企業がDX推進を掲げており、アクセンチュアなどコンサルティング会社がこの大きな予算を取り込むべく、大企業とのJV設立などを進めています。スタートアップにとってもまた、DXは大企業との関係性を築くための有望な切り口と言えそうです。

まとめ:自社の強みが相手の課題解決に役立つか

以上4つのケースを見ると、スタートアップが獲得・提供しているメリットは四者四様ながら、どのケースでもお互いに、自社の強みが相手の課題解決につながる組み合わせになっていることが分かります。レベニューシェアや持続的なパートナーシップ以外に、自社だからこそ相手に提供できる価値は何か――アライアンスを打診する際は、その点をよく考え抜いて提案することで、大企業側の検討も進みやすくなると思われます。

今回紹介した事例の抽出にあたっては、2018年1月から2022年4月までに、主に東証マザーズ/グロース市場に上場承認された約450社を対象に調査を実施。有価証券届出書に売上比率が10%を超える企業の記載がある企業をピックアップした後、さらに資本業務提携を結んでいるケースに絞り込みました。残った約20件(業態上、取引先が偏る傾向にある製薬関連、スマホゲーム関連の企業は除く)のうち、上場年次が比較的近く、知名度のある案件として4件を選んでいます。調査には、当社のM&Aアドバイザー・源さんが全面協力してくれました。

最後に、おまけの情報を紹介します。「売上10%以上」「資本業務提携あり」の約20件の中で、さらに「上場した会社の創業者の元勤務先」でもあるケースが数件ありました。ベビーカレンダー×ベネッセコーポレーション、JTOWER×ソフトバンクなどです。起業する際には、やはり何らかの形で前職でのキャリアを活かせるビジネスを選択する人が多いと思いますが、そうした場合、かつて築いた人脈の価値が大きいことがうかがえますね。特に大企業に勤務している人は、在職中にしっかりネットワークづくりをしておくと、起業後の支えになりそうです。

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