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2022年注目のデーティング投資とは?最新4事例から徹底解説!
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2022年注目のデーティング投資とは?最新4事例から徹底解説!

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皆さん、明けましておめでとうございます。経営企画本部の藤原です。旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、2021年はM&A業界でも色々な動きがあった年でした。弊社M&Aクラウドでもそれらの動きに随時目を光らせながら情報収集をしております。今回はその特徴的な事例として、事業会社やCVCによる、スタートアップに対する『デーティング投資』について最新4事例について書いていこうと思います。しばしお付き合いくださると幸いです。

『デーティング投資』とは

スタートアップM&Aはしばしば結婚のアナロジーで語られることがあります。結婚であれば、出会っていきなりプロポーズするのではなくデーティング期間で相手を見定めることが一般的だと思います。

ただ、M&Aでは数ヶ月の検討期間(場合によっては数週間のDD)で結婚相手を見定めることになりますので、想定した通りの結婚生活を過ごせるか不安になることもあります。

そこで、M&Aをする前に、いったんマイノリティー出資をして、数年間はそのスタートアップとの相性やシナジー創出の可能性を見定める期間(デーティング期間)を設けるやり方が日本でも少しずつ出てきました。これを弊社M&Aクラウドでは『デーティング投資』と呼んでおります。(皆さんもこのワードを使ってくれたら嬉しいです)

デーティング投資は、事業会社が直接する場合もあれば、CVCを経由することもあります。事業会社やCVCによる投資では、投資先のIPOによるキャピタルゲイン獲得を狙うというよりは、最終的にはM&Aすることでシナジーを発揮させ両社の成長を狙う、ということが多いと思いますので、M&A Exitは僕はとても綺麗な着地だと思っています。

2021年末に弊社代表取締役CEO及川厚博によるダイヤモンドシグナル様への寄稿記事でも2022年以降のトレンドとして『デーティング投資』について触れておりますので、お時間あるときにぜひご覧ください。

今回のnoteでは、そんな『デーティング投資』の事例で特徴的だったケースを4つご紹介してみたいと思います。

POLA ORBIS x TRICOT(FUJIMI)

FUJIMIというD2C美容サプリを販売するトリコ株式会社に、株式会社ポーラ・オルビスホールディングスがマイノリティー出資をしたのが2019年10月のことでした。そこから1年4ヶ月のデーティング期間を経て、2021年2月に100%のM&Aで着地しました。事業ドメイン的にもドンピシャですし、これは本当に綺麗な着地だったと思います。もう惚れ惚れします。VCファンドのXTechにとってもExit達成で三方良しです。

少し話がそれますが、ポーラ・オルビスホールディングスのその他の投資先を見ると、SHE、Novera、WAmazing、Melliaのように、ちゃんと自社事業の色が出ていて、これも素敵です。

さて、2019年10月のデーティング出資の際には10.56%を取得していたポーラ・オルビスですが、今回残りの89.44%(16,100株)を33億2,200万円で取得しました。従って企業価値は約37億1,400万円、株価は約20万6,300円です。VCのXTechは20%(3,600株)を保有していましたので、売却額は単純計算で約7億4千万円になりました。(もし前回のラウンドが種類株式で1倍参加型のような残余財産配分権が設定されていればこれより大きくなります)

トリコの2020/03期は売上高1億7,300万円・当期純利益▲1億5,800万円
の赤字でして、2021/03期も当期純利益▲3億5,000万円の赤字を当時見込んでいた中で、約37億円というバリューを付けたのが純粋に凄いです。トリコは売上高の成長が凄まじく、しっかりとシナジーを出していけば十分回収できるという見込みがポーラ・オルビス側にあったのだと思います。

デーティング期間を経ているM&Aであるからこそ、このバリューが正当化できていると思いますし、PMIとしても、ある程度仮説検証ができている中で、さらにシナジー創出を加速させることが今後の注力ポイントになると思います。両社の今後の成長に注目していきたいと思います。

DeNA x ZIZAI(IRIAM)

株式会社ZIZAIの子会社でキャラライブアプリ『IRIAM』を運営する株式会社IRIAMに株式会社ディー・エヌ・エーがマイノリティー出資したのは2020年8月のこと。そこから約1年間のデーティング期間を経て2021年7月にM&Aとなりました。デーティング期間中にDeNAは担当取締役を1名派遣しており、かなり密に事業連携をしていたことが伺えます。

なお、DeNAはデライトベンチャーズというCVCがありますが、このときは本体からの出資だったようです。当時はA種優先株式2,000株によって20%のシェアを獲得しており、独立系VCが参加していないDeNAのみのラウンドでかつデーティング投資でありながら種類株式を使っている辺り、さすがしっかりやられているなと思いました。

今回のM&Aでは残りの8,000株の普通株式をIRIAMの親会社のZIZAIからなんと120億円!で取得しました。従ってIRIAMの企業価値は150億円、株価は150万円となります。

IRIAMの2020/08期は、売上高1億6,400万円・当期純利益▲8,200万円となっており赤字でした。150億円のバリューを正当化するには、やはりデーティング期間中に確かめられたIRIAMの極めて高い成長性と買収後のシナジー創出の蓋然性の高さがあったのだと思います。

他の観点で考えると、DeNAには既にPocochaというリアルライブアプリがあります。決算説明資料によると、2017年にサービスが始まったPocochaは開始4年で既に黒字化を達成しており、四半期売上高も70億円に迫る勢いで成長しています。

DeNA 2021年3月期決算説明資料P.8より

このPococha事業の急成長と同じ絵を描けると考えるならば、今回のIRIAMのバリューである150億円というのもかなり妥当性が高いと言えます。

もうひとつ外部環境的な要因で補足するなら、DeNAの競合であるGREEが同様の事業『REALITY』のグローバル展開でかなり先行しているという点も考慮する必要があります。DeNAとしてはこれ以上離される訳にはいかず、何としてもIRIAMを獲得する必要があったのではないかと拝察します。

今回の150億円というバリューは、
(1) デーティング期間で高い成長性の見極めができていた
(2) 既に自社で再現性の高い他のサービスがあり同じ絵が描けた
(3) 先行する強力な競合サービスがあり遅れを取るわけにはいかない
という3つのあわせ技によって可能となったValuationだったと思います。

PLAID x Emotion Tech

このケースはこれまで紹介したケースと異なり、100%のM&Aではなく連結子会社化で着地した興味深いケースです。

まず顧客体験マネジメントや従業員体験マネジメントを提供している株式会社Emotion Techに株式会社プレイドがマイノリティー出資したのは2020年5月のこと。このときはB種優先株式で4.5%のシェアでした。

そこから1年4ヶ月のデーティング期間を経て、2021年9月にEmotion Tech社の発行済株式54,904株(普通株式18,615 株、A種優先株式36,289株)を既存株主から取得し、さらに、Emotion Tech社が発行するC種優先株式10,235株もプレイドが引き受けて、合計64.0%のシェアを獲得し連結子会社化しました。

2億5,900万円でC主優先株式10,235株を引き受けているので、発行済株式総数が108,543株であることを考えると、Valuationは27億4,600万円です。業績としては、2020/12期が売上高4億8,700万円・当期純利益▲1億200万円の赤字でしたから、今回のケースもなかなか強気のValuationです。

やはりデーティング期間があることで、Emotion Techの成長性とシナジーをしっかり見極められている事と、このケースに限って言うと、上記プレスリリースに「将来IPOを目指す」とあることから、高めのValuationが正当化しやすかったと思います。

この点を少し解説すると、スタートアップに対してVCが行うVC Valuationと事業会社がM&Aで行うM&A Valuationは明確に違いがあります。一般的には後者の方が圧倒的に低くなります。

スタートアップのような急成長を志向し外部からリスクマネーを調達してガンガン事業に投資していくような企業においては、FCFがすぐに黒字になるというケースは稀ですから通常のDCF法が使えません。代わりにIPO時の仕上がりからシェアとIRRを使って逆算する方法が利用されます。これがVC Valuationです。マイノリティー出資だからこそできる方法です。それに対してM&Aでは、その企業を自社グループに取り込んで連結処理をしなければならないので、足元でいくら利益を出してくれるのか?という点をどうしても重視せざるを得ません。所謂「のれん負けしたくない」というものです。これがM&A Valuationにおいて、利益が出てないスタートアップがシビアな評価になってしまう所以です。VC Valuationで今までやってきた起業家が、M&A Exitを検討したところ、あまりのValuationの低さにショックを受けてM&Aが進まないことがあるのは、これが原因です。

今回のケースでは将来IPOを目指すと明言しているので、VC Valuationがロジック的には使えます。しっかりとIRすれば、のれん負けしたとしても投資家らから苦言を呈されることも少ないのかもしれません。

日本の投資家も徐々にPL重視からCF重視へ変化してきていると聞きますし、スウィングバイ・IPOや二段階Exitという言葉も徐々に知れ渡ってきている点もプラスに作用していると思います。そういう意味では初めに「スウィングバイ・IPO」という言葉を開発したソラコム玉川氏とKDDIは改めて凄いと思います。

RAKSUL x DANBALL ONE

このケースはマイノリティー出資というよりは、もう少し踏み込んだ出資をいきなり実施していたケースです。

梱包材プラットフォーム「ダンボールワン」を運営する株式会社ダンボールワンをラクスル株式会社が関連会社化したのは2020年12月のことでした。ラクスルはこの時既に49.9%(499株)のシェアを獲得しており、これまで紹介した3つとは少し趣が異なります。

両社における人的関係でも、ラクスルから従業員11名、取締役2名、監査役1名を派遣しており、デーティング期間どころかもう婚約期間に近い形でのお付き合いが1年間続き、2021年12月9日に残りのシェア50.1%(501株)を辻俊宏氏から取得する取締役会決議がなされ、2022年2月1日に100%のゴールインとなります。

今回ラクスルは1株400万円で501株を20億400万円で取得しました。全体の1,000株では40億円となります。(ただし、取得価額に加えて辻俊宏氏に対して5億円のアーンアウト対価が設定されていますので、業績目標達成を前提にすれば40億円より高いValuationとなります。)

ダンボールワンの2021/7期(10ヶ月決算)では売上高43億円、当期純利益▲7.4億円となっています。足元のEPSが▲74万円の企業に1株400万円の価値を付けているわけですから、シナジーを見越した将来性が大いに評価されていると言えます。

実際にラクスルもIR文書の中で「協業関係により互いにシナジー効果を創出している」と記載していますので、やはりデーティング期間でこの株価が正当化できる確信が得られたのだと拝察します。

まとめ

これまで4つのデーティング投資をご紹介しましたが、いずれも高い成長性とシナジー創出の蓋然性の高さをデーティング期間中に見極められていたことで、赤字でありながら高いValuationが実現できていたと思います。

競合サービスの存在がValuationにかなり影響してそうなIRIAMの事例や、将来IPOを見据えたことでVC Valuationが使えたEmotion Techの事例など、実際に取材したわけではなく僕の妄想も少し入っているかもしれませんが、それほど外していないと思いますので、皆さんのご参考になれば幸いです。

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