
スタートアップM&Aナンバーワンを目指すスペシャリスト集団が睨む「世界で勝てる日本」のための新しいM&A
2021年2月の発足リリースから間もなく2年を迎えるM&Aのスペシャリスト集団「M&A Cloud Advisory Partners(通称 MACAP)」。投資銀行や総合商社、FASなどでM&Aの現場を経験してきたメンバーが集い、現在は15名を超えるチームになっています。
■発足時のリリース
■当時のCEOと事業部長のnote
M&Aクラウドの成長を支える屋台骨でありながら「スタートアップM&A」という新しい文化を育てるMACAPは、2年の間にどのような変化を遂げてきたのでしょうか。
昨年12月、MACAPを立ち上げ当初から率いてきた村上が新たに経営企画に軸足を移すのに伴い、MACAPの初期メンバーの一人、福田一樹が事業部長を引き継ぎました。「M&Aクラウドだけでなく、スタートアップM&A市場を引っ張るチームを作る!」と意気込む福田に、MACAP設立から今日までの軌跡と、MACAPの知見を注いでこれから実現を目指す、新たなプラットフォーム構想を聞きました。
(聞き手:オバラ ミツフミ)
ANDの思考で、売上と文化の二兎を追う
—— 2021年2月の発足リリースから2年を迎えるMACAPですが、現在はどのような組織になっているのでしょうか。

リリース当初6名だったメンバーは16名(2023年1月時点)に拡大。メンバーのバックグラウンドもより一層多様になり、顧客への提供価値の向上につながっています。
投資銀行やFASでM&Aに携わってきたメンバーのほか、私のように総合商社出身で買い手側としてM&Aを経験してきた人材もいれば、投資する立場だったVC出身のメンバーもいます。直近はM&A仲介業界出身のメンバーも続々と入社しており、チームの総合力が高まってきました。
メンバー数が限られていた初期のころは、さまざまな案件の遂行過程で難題にぶつかった際に対応に困った経験もありましたが、多様なメンバーが集まってきた今では、ニッチな課題に直面した場合でも、チーム内に一人は詳しいメンバーがいる。進め方に困ることがなくなっています。
最近では、MACAPとプラットフォーム事業、MACAPと広報を兼務するメンバーが出てきたほか、MACAPから社内新規事業を立ち上げた人材も輩出するなど、メンバーに多様なキャリアを提供できるようにもなりました。
ただ、この状態に決して満足しているわけではないです。先々のことを考えると「まだまだだな」と感じる機会も少なくありません。
—— 具体的に、どのようなときに「まだまだだな」と感じるのでしょうか。
MACAPは現状、会社の売上を牽引する、いわばメインエンジンです。M&Aクラウドは投資家から出資をいただいているスタートアップなので、持続的な成長を続けるためにも、売上にこだわり続けなければいけません。
ただ、それだけでは不十分です。
私たちは、スタートアップにM&Aという選択肢を提供し、ここでナンバーワンを目指しているので「スタートアップM&AならMACAPだよね」という認知を獲得していく必要があります。
一方で、スタートアップM&Aはまだまだ成長過程にある市場です。M&Aクラウドとしては、当事者であるスタートアップに加えて、買い手となる事業会社、VCをはじめとした投資家に対しても、M&Aという出口戦略の必要性とその可能性について、啓発・浸透させていく必要があると考えています。
そのため、MACAPは会社の時価総額向上に貢献するだけでは足りず、少し誇張表現になるかもしれませんが「スタートアップM&A市場を作る・デカくしていく」役割も担うべき存在だと思っています。
目の前のM&Aディールに全力で取り組むのは言わずもがな、同じくらいのテンション・熱量で「スタートアップM&A市場を大きくしていく」ことにトライしていきます。
—— 売上をつくるだけでは、MACAPとして果たすべきミッションを完遂できない、ということですね。
仮に「スタートアップM&Aの市場拡大」を脇に置き、成約数を増やすことのみに集中すれば、短期的には売上を右肩上がりに伸ばせると思います。でも、それだけでは既存プレイヤーの二番煎じになりかねません。また、どこかで頭打ちします。
会社として目指している「時価総額10兆円」には届かないでしょうし、「スタートアップM&Aナンバーワン」も実現できないと思います。
もちろん、今のフェーズからスタートアップM&Aに完全に絞ることもできるのですが、マーケットの規模感を考えれば、成長が鈍化してしまう。ブランドを創りながら、それでいて会社を成長させていくことの難しさを感じながら、日々試行錯誤しています。
世界で勝つ日本のために、M&Aという選択肢を
—— そもそも、なぜ「スタートアップM&A」に注力しているのでしょうか。
「スタートアップの出口戦略として、M&Aが一般的になる未来が見えている」からです。
日本の資金調達環境は成熟してきており、スタートアップは、かつてに比べて投資家からの資金調達は行いやすい環境になっています。一方で、出口戦略は今でもIPOに偏っているのが現状です。スタートラインに大勢の人が集まっているのに、ゴールは限りなく狭い、という状態になっています。
実はこれ、20〜30年前のアメリカと近似しているんです。しかし、アメリカでは2000年前後にIPOとM&Aの割合が逆転し、現在はスタートアップの9割がM&Aによってエグジットしています。

日本も遅かれ早かれ、現在のアメリカのようになるでしょう。つまり、私たちは、すでに起こった未来に、いち早く軸足を置いているんです。
とはいえ、スタートアップM&Aが盛り上がってくれば、やがて今以上に多くの競合が参戦してレッドオーシャンになるはず。私たちは、その流れが来ても耐えられるよう、強固なMoatを築いておく必要があると考えています。
—— スタートアップの出口戦略にM&Aが加わると、社会的にどのような影響があるのでしょうか。
二つの観点があると思っています。一つは「日本経済が強くなる」ということです。
現在、世界の時価総額ランキングで常に上位にランクインしているGAFAMは年平均で10件以上のM&Aを行っています。Googleが創業まもないYouTubeを約2,000億円でM&Aする等、新しい技術を持つ企業、これから価値を生み出す企業を買収することで、雪だるま式に企業価値を高めているんです。
一方、日本の大企業でスタートアップM&Aを積極的に進めている会社は限られています。日本にも有力なスタートアップは数多く存在していますが、国内にはそうした会社の受け皿となれる大企業がまだまだ少ないのが現状だと思っています。例えば、後払い決済サービスのPaidyの3,000億案件も、買い手は米国企業のPayPalでしたよね。
こうした状況が続くと、日本経済はますます国際競争力を失ってしまう。そうならないために、「すでに起こった未来」を少しでも前倒ししていかなければいけないと思っています。
もう一つは「起業家の選択肢が増える」ということです。
スタートアップの経営者は若い人が多いので、最初の起業時に潤沢なキャッシュを持っている人は多くありません。そうした状態で経営を続け、IPOという難度の高いゴールを目指すのは、メンタル的にはきついチャレンジです。
M&Aという選択肢が一般的になれば、起業家のプレッシャーも軽減されるはずです。IPO以外のやり方で株主にリターンを返すこともできますし、そこで得たキャッシュでもう一度挑戦することだってできます。
結論、「スタートアップM&A」という新しい文化をつくっていかなければいけないのは自明なんです。
「より強くなるためのM&A」を、もっともっと
—— IPOをするよりも、M&Aを選択したほうが、対象企業の成長にプラスになる可能性もあるのでしょうか。
もちろんです。例えば、弊社がM&Aを支援した株式会社DFA Robotics(以下、DFA)は、IPO準備を進めながら、上場企業に株式を売却する選択をされました。Paidyさんと同様に、「デュアル・トラック・プロセス」を実行されたケースで、私が担当させていただきました。
DFA Robotics社は、配膳ロボット販売台数が世界1位の企業です。ただ、競合他社も出始めており、単体での成長を目指すのか、あるいは大手企業との連携により成長を加速させるのか、決断を迫られていました。
最終的にM&Aを選択した理由は、上場企業のパワーを借りる方が、自社にとってより有益だと判断されたからです。株式をすべて売却するのではなく、一部を手元に残したうえで、再びIPOを目指す「スイングバイIPO(※)」を視野に入れた意思決定でした。
※ジョイン先のアセットを活用して上場を果たすこと。2017年にソラコムがKDDIにジョインした際、大企業のアセット活用で得られるパワーを宇宙船を引っ張る惑星の重力になぞらえて生まれた言葉。
DFA Robotics社代表の波多野さんもおっしゃっていましたが、IPOでもM&Aでも重要なのは「タイミング」です。今の市況下でIPOするよりも、新たなパートナーのもとで会社を一回りも二回りも成長させながら、来るべき好機に備えた方がよいと判断されたのです。
スタートアップM&Aに対して、ひょっとすると「IPOが難しくなったときの苦肉の策」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、今、紹介したようなポジティブなケースもどんどん増えています。私たちMACAPは、スタートアップの出口戦略の伴走者として、社会の認識をアップデートしていかなければいけないと思っています。
—— 風向きを変えていくためには、M&Aクラウドが成長を続けながら、スタートアップM&Aを増やしていく必要があると。
その通りです。加えて、長期的にはMACAPが蓄積したスタートアップM&Aの知見をプラットフォーム(「M&Aクラウド」「資金調達クラウド」)にも還元していきます。M&Aや資金調達のマッチングだけでなく、プラスアルファの価値を提供するプロダクト開発に貢献していきたいと思っています。
弊社が将来的に提供していくサービス展開については、私個人のイメージも入ってしまいますが……たとえば今、これから起業しようという人は、とりあえず「MoneyForward」や「freee」といった会計ツール、「Slack」や「Chatwork」などのチャットツールの導入を検討しますよね。
M&Aクラウドも、M&Aや資金調達のマッチングだけでなく、プレディールやPMIなどでも使っていただけるサービスを提供していきたいし、もっといえば「M&A・資金調達を検討する全スタートアップが登録する」くらいのプレゼンスを獲得していきたい。
それができる頃に、はじめて弊社のビジョンにも入っている「時価総額10兆円」という高い壁に手がかかるのではないかと思っています。
そして、それを実現するためには、冒頭の話に戻りますが、MACAPが売上を追うだけでは不十分です。われわれMACAPがスタートアップM&Aをサポートしながら、現場の課題感を掴んでプラットフォームに還元していくことがM&Aクラウド全体の成長に必要だと思っています。

エコシステムの風向きを変える挑戦者、求む。
—— MACAPが今後大きな目標を達成していくためには、どのようなメンバーが必要だと考えていますか。
MACAPの価値を最大化できるよう、これまでの経験から常に新鮮な視点と刺激をもたらしてくれる、エネルギッシュなメンバーに参画してほしいと思っています。M&Aやファイナンスに関連する業務に一部でも携わった経験があれば採用候補者としてお話させていただきたいと思っています。


「大卒でなければ採用しない」「前職は大手企業でなければならない」という制約は一切なく、「スタートアップのM&Aを盛り上げたい!」という気持ちがあれば、門戸は誰にでも開かれています。
これまでにも「会計士の資格は持っているが、M&A実務の経験はない」といったメンバーがジョインしており、すでにアドバイザーとして活躍してくれています。また、未経験でジョインして、アドバイザーにまで成長したメンバーもいます。
M&Aやファイナンスに関する基礎知識さえあれば、参画後にプロフェッショナルのスキルやマインドセットを身に付けていける環境はあるので、気持ちがあるなら全力でサポートしていくつもりです。
私たちが目指しているのは「スタートアップがM&Aを検討するなら、MACAPに相談すればいいよね」と誰もが納得してもらえる世界観。
新たな文化をつくっていくことはもちろん、スタートアップM&Aの世界でトップを狙う挑戦に心が躍るのであれば、ぜひ声をかけていただきたいと思っています。
文・山崎真由 編集・オバラミツフミ
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