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移転コスト・期間が1/3になる“W居抜き“ノウハウ公開!6期目を迎えたスタートアップが最強のオフィス移転を実現しました

こんにちは! 「Update M&Aクラウド」編集部のみょんです。リモートワークに突入して早ひと月、運動不足が深刻です。このお腹をなんとかするには、私もM&Aクラウドの最大勢力「筋トレ部」に入るべきでしょうか…。

今回は、当社オフィス移転の秘話をお届けします。旧オフィスを居抜きで出て、新オフィスにも居抜きで入った、まるでヤドカリのような私たちの引っ越し。その裏には、なぜか引っ越しコンサルタント並みのスキルを持つ、精鋭ぞろいのメンバーの活躍がありました。同じく移転をお考えのスタートアップの皆さんにも参考になりそうなポイントを厳選し、コーポレート本部長の齋藤からお送りします!

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▲ コーポレート本部長 齋藤 俊

はじめに:“W居抜き”はスリル満点。覚悟を持ってチャレンジしよう

飲食店などの移転では、もともとよく行われていた“居抜き”。近年、オフィスでも居抜きでの移転が増え、コロナ禍でますますその傾向が加速しています。当社、株式会社M&Aクラウドも、首都圏に2度目の緊急事態宣言が出される直前の今年1月、別会社からの居抜きで借りたオフィスに移転。さらに、旧オフィスにも居抜きで入る次の借り手を見つけるという、スタートアップ界隈でもなかなか聞かない荒業、“W居抜き”をやってしまいました。

移転先に居抜きで入るということは、内装工事や什器購入の費用を節約できます。プラス、当社は旧オフィスも居抜きで出てきたため、退去時の原状回復費用や廃棄費用も浮かすことができました。最終的に今回の移転にかかった費用を合計し、一般的なオフィス移転コストと比べてみたところ、なんと1/3以下…! 移転にかかった期間も通常のほぼ1/3という、自分たちも驚きの超経済的&スピード引っ越しとなりました。

“W居抜き”の場合、新オフィスの元入居会社、旧オフィスの後続入居会社、そして両オフィスの不動産会社、この4者との交渉・契約を並行して進めなくてはなりません。これは正直、めちゃくちゃハードです。かつ、当社は各交渉の過程で粘りまくった結果、想定を超える好条件と引き換えに、引っ越し日をなかなか確定できず、業者への連絡もギリギリになるというスリリングな展開が待っていました(笑)。

こんな引っ越し、ぶっちゃけコーポレート部門の負担は半端ないです…。でも、「オフィス移転に余計な費用をかけたくない!」と考えるスタートアップの皆さんにとって、“W居抜き”の効果は絶大です。オフィス移転の常識を打ち破る(?)、このスキームを実現するための8つのポイントを、M&Aクラウド コーポレート本部長の私、齋藤が解説します。

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▲ 絶妙なチームワークで、超経済的&スピード引っ越しを実現。左上から時計回りに、各種手続きや業者手配を担当したコーポレート本部 樋口 明芳、関係各所と交渉したCOO 前川 拓也、居抜き物件の情報収集を行ったCEO 及川 厚博、予算管理や契約手配を担当した私、コーポレート本部長 齋藤 俊

ポイント1:こんなときこそSNS! 居抜きで入る物件情報は自ら募集しよう

2019年3月、総勢12名で八丁堀オフィスに移転してきたM&Aクラウド。「35名になるまではこのオフィスで」と想定していた、そのリミットに達する日も次第に見え始め、次の移転を考えるようになったのは、2020年9月です。コロナ第2波真っただ中のそのころ、SNS上では、居抜き移転のためのオフィス物件を探して、情報収集する人がちらほら出てきていました。これに刺激を受けたことから、当社の常軌を逸した引っ越し計画がスタートします。

9月末、共同代表のCEO・及川がTwitterで、居抜きで入居できる物件情報を募ったところ、たちまち4件の情報が寄せられました。このうち、広さ・アクセス・坪単価のすべての面で、当社の希望に合致していたのが、今回の移転先となった新宿御苑オフィスです。ここに入居していたデザイン会社の経営者が及川と親しく、折しも同社の親会社のオフィスに同居するため、現オフィスからの退去を希望していました。

こうして自力で移転先を見つけたおかげで、不動産会社を通さず、先方のデザイン会社と直接話ができたことは、今回のプロセス全体を通じて、大きなメリットになりました。かつ、先方の呼びかけに応じたのではなく、当社が募集する側だったことも重要なポイント。今回、4社から手が挙がったことからも分かるように、自分が応募した側だった場合、相手には他の選択肢がある可能性があります。そうなると、交渉時に踏み込んだリクエストを出しにくくなってしまうかもしれません。

ポイント2:本気でコストを抑えるなら、旧オフィスにも居抜きで入る会社を見つけよう

今回、当社は約60坪の八丁堀オフィスから、約130坪の新宿御苑オフィスに移転。居抜きで入ったことで、この広さでは通常1,300万円ほどかかる内装工事費用を0円に、同じく600万円ほどかかる什器購入費用を40万円に抑えることができました。また、内装工事が不要だったことから、通常なら契約から使用開始までに2カ月分かかる家賃も0円としています(これには別のからくりもあるのですが、後ほど説明します)。

では、これらに次いで、引っ越し時に大きな負担となる項目は何でしょうか? 答えは旧オフィスの原状回復費用です。60坪では通常180万円ほどかかる、このコストを浮かすには、旧オフィスにも居抜きで入ってくれる会社を見つけなくてはなりません。

ここで動いたのは、当社もう一人の共同代表で、COOを務める前川。知り合いに声をかけて2社の候補を確保し、最終的に当社のお客様でもある人材会社との話がまとまりました。同じ八丁堀のご近所に本社を置く同社は、やはり従業員が急増しており、近くに第2のオフィスを設けることを検討していました。

今回、非常にラッキーだったのは、新宿御苑オフィスに入居していたデザイン会社、八丁堀オフィスを引き継ぐ人材会社とも、移転時期を調整しやすい条件下にあったことです。デザイン会社の移転先となる親会社のオフィスは、いつでも同社を受け入れられる状況でしたし、人材会社は本社オフィスを引き続き使用するため、退去手続きの必要がありませんでした。どちらも偶然ですが、これらのおかげで、スケジュールを当社主導で調整できたのは大きかったです(ちなみに、移転日は月の途中に設定すると社員の通勤費の精算が発生するため、月初がお勧めです)。

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▲ 新オフィスのデザインの要はテント! 業務の合間、ほっと一息つきたいときはここで

ポイント3:“W居抜き”には落とし穴がいっぱい。バックアッププランを必ず用意しよう

移転先と旧オフィスへの入居会社が見つかったからと言って、気を抜いてはいけません。“W居抜き”の道のりには、さまざまなトラップが待っています。

まず、オフィスの借り手とは合意ができても、不動産会社が居抜きを嫌がるケースがあります。というのは、通常の移転では、退去後、不動産会社が物件の状態をチェックした上で、入居時に預かった敷金から原状回復にかかる費用を差し引きます。ここにはクリーニング業者等に払う費用に加え、不動産会社の手数料も乗っているため、このプロセスがなくなることは、不動産会社にとって痛手なのです。

また、自力で移転先や後続入居会社を見つけた場合に見逃せないリスクとして、先方が移転を取り止める、交渉が決裂するなどで、最終契約に至らない可能性も考えなくてはなりません。

当社の場合、新旧オフィスとも、不動産会社の了承は無事取り付けることができました。これには、コロナ禍のオフィス事情が大きく影響しています。新宿御苑オフィスでは、デザイン会社の契約期間はまだ数カ月残っていましたが、現状では契約期間満了後の入居者が見つからない可能性が高く、次の入居者が確保できるなら、居抜きであっても、不動産会社にはメリットが大きい状況でした。八丁堀オフィスでも1事情は同じで、当社が規定の3カ月前に退去を申し出た際、「規定日を過ぎても、残りたければ残ってもよい」と言われたほど。コロナ以前ではあり得なかった、借り手優位の市場になっているのです。

一方、移転先候補や後続入居会社候補との交渉においては、当社も実際に、先方の移転取り止めや交渉決裂を経験。ただ、当初からそうしたリスクは想定していたため、居抜きではない、通常の物件探しも不動産会社に依頼していましたし、後続入居会社候補も複数確保していました。

“W居抜き”を目指す過程では、必然的に多方面の相手と並行して交渉することになります。どれか1つが頓挫してのっぴきならない羽目に陥ることがないよう、常にバックアッププランを走らせておくことが大切です。

ポイント4:コロナ禍の今は入居者有利! 無理そうな条件も、ひとまずぶつけてみよう

ここまでの交渉を通じ、「借り手優位」を実感した私たち。家賃交渉の場面でも、ギリギリの交渉に挑んでしまいました。

当社の入居と前入居者の退去の時期がずれるので、いつから当社が家賃負担するかが論点になりますが、交渉の結果、当社の家賃負担は入居開始の1月からとなりました。先方としても、当社が現在の契約を引き継いでくれれば原状回復工事は不要ですし、残りの契約期間の家賃負担が不要となるため、お互いにメリットがあるとの判断でした。結果、当社としても空家賃を負担することなく入居できることとなりました。

当社COO・前川の執念の交渉は、ここで終わりませんでした。新宿御苑オフィスの契約は、デザイン会社から引き継いだものですが、不動産会社と交渉し、新規契約時と同等のフリーレント1カ月を獲得。オフィス使用開始までどころか、使用開始した1月の家賃も0円にしてしまったのです。さらに、前川は、現契約が切れる際に発生する契約更新料についても交渉。更新料0円とはならなかったものの、代わりに現契約の契約期間中の家賃を値引きしてもらうという、恐るべき取り引きを成立させました。

一方、八丁堀オフィスは、最終的に1月7日付けで明け渡しとしました。こちらでは、当社からは敷金の全額返還、人材会社からはフリーレントをリクエストされた不動産会社との間で、さらにギリギリの交渉が繰り広げられました。最終的に、敷金の全額返還、人材会社のフリーレントを獲得した代わりに、当社の退去後、1月18日までの家賃を引き続き当社が負担することで折り合いました。

ちなみに、原状回復費用0円で済んだのは、人材会社が居抜きで入ってくれたおかげです。返還された敷金の一部は、同社に「クリーニング費用」としてお渡ししました。

ポイント5:一歩間違えれば路頭に迷うリスクあり。新旧物件の契約書には同時に押印!

契約交渉の最終盤、一番大切なのは、当たり前ですが、両オフィスの契約を確実に締結に持ち込むことです。もし、新オフィスとは契約を開始したのに、旧オフィスの契約を終了できなければ、二重の家賃が発生します。もっと怖いのはこの逆のパターンで、従業員と什器の行き場がなくなります(笑)。

ギリギリの交渉をしながらも、決裂しないよう細心の注意を払う必要がありますが、交渉事だけに、常に最悪のケースも想定しなくてはなりません。悪い方に転んでも、「移転延期」レベルで済むよう、新旧オフィスの契約書の締結は、必ず同時に行いましょう。

今回、当社が契約締結したのは、12月も半ばを過ぎてからです。すでに引っ越し業者や通信工事業者とも話を進めていながら、すべて引っくり返る可能性も0ではないという、心臓に悪い日々でした。ちなみに、そんな中でも業者選定にもこだわり、引っ越し費用はなんと通常の15%ほどで済んでいます。

ポイント6:不要なものはもらわない。什器・備品の廃棄費用を最小限に抑えよう

居抜きで入る大きなメリットの1つに、前入居者の什器や備品を引き継げることがありますが、もし自社では不要なものをもらってしまった場合、その廃棄費用はただではありません。そこで当社は、デザイン会社の退去前、廃棄業者を呼んで引き取ってもらう物を決める場に立ち会い、当社で使いたい物だけを残してもらうという、やや虫のいい手段を取らせていただきました。

オフィスチェアは八丁堀で使っていたものを持ち込む予定だったため、先方に大量にあったオフィスチェアの大部分と、机も一部、廃棄してもらいました。ただし、オフィスチェアは50脚だけ残してもらい、うち20脚は当社社員の自宅用として希望者に提供。これは、引っ越し翌日から、緊急事態宣言を受けたリモートワークに突入した社員たちに大好評でした。

ポイント7:当社痛恨の反省点。新オフィスの明け渡しには立ち会おう

居抜きと言っても、必ずしも前入居者が使っていたままの状態で、使い続けられるとは限りません。新宿御苑オフィスで当社が大きくアレンジしたのは、2つあった執務スペースの1つをイベントスペースにしたことです。

今回、内装工事業者には一切依頼せず、正月明けの3日間、コーポレート本部員を中心とする数人で、新オフィスの準備を行いました。このとき、イベントスペースにする予定の部屋に入った私たちの目に飛び込んできたのは、床一面の配線です。社員初出社の7日には早速、イベント開催予定だったこともあり、どのケーブルがどこにつながっているかを確認しつつ、自分たちで剝がす作業に追われました。

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▲ 初出社の1月7日、イベントスペースに集合した社員。以前は執務スペースでした

デザイン会社のご厚意で、先方入居中に内見させていただいていたものの、その時点では執務スペースとして稼働中だったため、床の配線までは目が行かなかったのです。ただ、同社の明け渡しの際に当社が立ち会っていれば、そこで気づけたはず…。当社の反省を込め、明け渡しにはできる限り立ち会うことをお勧めします。

ポイント8:立つ鳥後を濁さず。旧オフィスの片づけは計画的に

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▲ 1年10カ月を過ごした八丁堀オフィス。ここで総勢12名から31名へと成長を遂げました

旧オフィスを引き払う際は、その後、原状回復業者が入らないだけに、できるだけきれいにして出ていくことが大切です。

今回、一般社員には自分の物だけ荷造りしてもらい、年末最終日からはリモートワークとしました。これでオフィスに残った引っ越しメンバーは作業に集中できた一方、たった数人での大掃除は想像以上に大変。移転に伴う手続きに追われ、社員に片付けや掃除を分担する余裕もなかったとはいえ、「各自の机くらい拭いてもらえばよかった」と後悔しました。

また、大掃除や運び出しの最中には、持ち主不明の物や捨ててよいか判断しかねる物、使途の分からない謎の部品などが続々と出てきます。細かいことですが、「とりあえず持って行くもの」「とりあえず置いておくもの」用の空き段ボールを最後まで残しておくとよいです。

なお、荷造り・荷ほどきの仕方、新宿御苑オフィスの使い方などを社員に説明する際は、写真入りのスライドを用意しました。これもちょっとしたことですが、おかげで全員がスムーズに理解、協力してくれたのでお勧めです。

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▲ 写真入り資料のおかげで、社員の荷造り、荷ほどきもスムーズに

まとめ:何が起きてもやり切る! スタートアップマインドとWin-Winの発想を忘れずに

今回のオフィス移転対応が佳境だった時期、コーポレート本部は他にも大量のタスクを抱えていました。当社は11月が決算期であり、監査法人対応や就業規則の改定も重なったためです。とはいえ、そもそもスタートアップにとって暇な時期は存在しませんし、思いがけない事態は常に起こるもの。コストに関しても、期限に関しても、何があっても妥協はしないという思いで走り切りました。

「妥協しない」と言っても、当然、自分たちの都合だけを関係者に押し付けるようでは、物事は進みません。「何事も1度は交渉してみる」と同時に、互いがWin-Winになる提案を考え抜くことの大切さを実感しました。期限に関しては、状況が目まぐるしく変わり、スケジュールに落とし込む時間すらないことが多かったため、部内で密に連携し、その時々のTo Doが漏れないよう、常に注意していました。

コーポレートの役割は、事業のスピードを落とすことなく、全社員が気持ちよく働ける環境を整え、経営を支えていくことです。将来「時価総額10兆円企業」になることを掲げているM&Aクラウドのコーポレートとして、オフィス移転も最強の形でやり遂げられたことを嬉しく思うと同時に、関係者の皆様と社員全員に心から感謝しています。私たちは今後も「コーポレート黒字」というクレイジーな合言葉を胸に、最強のコーポレートを目指していきます。

こんな私たちの体験が、オフィス移転をお考えの皆さんのお役に立てたなら幸いです。ご質問などあれば、お気軽にご連絡ください!

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