
資金調達リリースは最大の広報チャンス!『調達ブースト広報』でPR効果最大化のために僕たちがやったこと全てを公開します
皆さんこんにちは。経営企画本部の藤原です。今日は僕らの10億円の資金調達ニュースに合わせて実施した認知極大化施策について書こうと思います。しばしお付き合いくださると幸いです。
M&Aクラウドでは先日、2021年10月27日に約10億円の資金調達を完了したプレスリリースを配信しました。
ありがたいことに、過去のプレスリリースの中で最も多くの方に見ていただけたり、SNSでLikeを集めたり、日本経済新聞社・BRIDGE・TechCrunch・CNETといった主要メディアに掲載いただけたりしました。ありがとうございました。
最近ではスタートアップの大型資金調達のニュースも珍しいものではなくなってきています。それでも資金調達完了のプレスリリース配信時は、スタートアップが注目されやすい稀有なタイミングのひとつです。僕たちはこれを某人気ゲームでのアイテム効果にあやかって『スター状態』と呼んでいます。スターにはタイムリミットがありますから、スターを取ったら大抵の人は猛ダッシュし、その場で立ち止まることは滅多にありません。
この『スター状態』を最大限に活用して「10億円調達しました」というファクトに加えて、さらに多くの方々に僕らの新しいメッセージを届けたい。そんな想いで、この活動を社内で正式にプロジェクト化することにしました。
今回のプロジェクトで僕らがこだわった所としては、プレスリリース写真やバナー写真、他媒体活用、採用PitchDeckの作成、Meetyの仕込み、発表当日の動き方、社員の巻き込み、CxO発信note、投資家対談企画、活動まとめnoteなどです。順番に書いていこうと思いますので、ぜひ最後までお読みくださると嬉しいです。
まずプロジェクトのネーミングから決める
資金調達ニュースに合わせて認知を高め、他の目的も同時に達成しようとする試みは、既にいろんなスタートアップが行っています。ただその割には、この活動に対応する名前がまだスタートアップ界隈でも明確には決まっていませんでした。
こういう類のものは言い出した者勝ちですから、名前を決めて僕らがその発祥になれたら嬉しい。そんな意図もあってメンバーでブレストして名前を決めました。それが冒頭バナーに書いてあるこれです。
『調達ブースト広報』
ネーミング候補としては『PFP(Post Funding PR)』とか『プロジェクトフェニックス(特に意味はない)』とかいろいろ出ましたが、最終的には弊社代表及川案の『(資金)調達(して、その効果を利用して)ブースト(かけて)広報(するから)』という、とてもわかり易いネーミングに決定しました。
皆さんも資金調達ニュースの効果を最大化しようとする活動には、この名前を使ってくださるととても嬉しいです。
調達ブースト広報で何をやりたいかを1つ決める
名前が決まったら、この活動で何をしたいか1つだけ決めました。1つにしたのは、あれもこれもとやりすぎると全体が薄まって効果が下がるからです。
僕らはM&Aマッチングの会社ですから、「売り手を獲得したい」、「プラットフォームに掲載していただける買い手を集めたい」、「会計士や税理士の方々とのネットワークも作りたい」、「PEファンドや地方銀行とも提携したい」などなど、これを機に実現したいことは山程ありました。でもそこはぐっとこらえて、僕らは、
『人材採用広報に振り切る』
と決めました。今回の資金調達を経て、会社としてもいちばん力を入れていくことが、エンジニアやアドバイザーの採用です。本当はいろいろ広報したいけれど、採用以外は捨てるという意思を持ってプロジェクトを進めました。資金調達発表日以降の経営陣からの発信についても、人材採用についての言及がメインになります。
ただ、人材採用広報に振り切ると言っても、まず認知を高めてからでないと、そのメッセージを届けることができません。『調達ブースト広報』によって、まずはめちゃくちゃ注目度を上げて認知を極大化することが重要。そして、多くの人から注目される『スター状態』にしてから、人材採用のメッセージを出すという、この順番は絶対に外さないように心がけました。
Jiraを使って社長にも容赦なくタスクを割り振る
プロジェクト管理ツールはいろいろありますが、M&AクラウドではJiraが標準採用されています。
もともとシステム開発チームでは使っていたようなのですが、使い勝手が良いので、全社展開されたのを機に僕がいつもやっているアライアンス関連やブランディング関連のタスク管理にも、これを利用するように変えました。

普段使っているブランディング活動のJiraプロジェクトに、エピックとして『調達ブースト広報』を追加し、そのタスクとして思いつく限りのものを入れ込みました。調達ブースト広報では、社長にしかできない対外的な活動が結構出てきます。Jiraではメンバーだけでなく代表取締役CEOの及川に対しても容赦なくタスクを割り振っていきました。
社長に容赦なくタスクをアサインしたり、メディアの方とのミーティングをセットしたりするのは、もしかしたらM&Aクラウド独特の作法なのかもしれません。本人はいつも「基本的人権が無視されている」とやいやい申しております。しかしここは、会社が一段と大きく跳ねるためと思って心を鬼にして、情け容赦なく社長には働いてもらうのが良いと思います。
外部の方とのミーティング調整についてはツールを使うと便利です。最近はいろんなツールが出てきていますが、日本語が安心して使える日本のベンダーさんで、かつこちら側の参加者が複数名でも使えるSpirを僕は重宝しています。
メディアへの情報提供はVCやPR会社の力も借りる
以前と違って昨今ではメディアへのアプローチについて変化が見られることも、この活動でわかりました。これは良い学びでした。BRIDGEさんもTechCrunchさんも、スタートアップ経営者や広報担当者が集うコミュニティーがあります。
BRIDGEはDiscord、TechCrunchはSlackでコミュニティー運営されておりますが、担当の方は予めジョインされておくことをお勧めします。
また、今回はPRでいつもお世話になっている株式会社カケルさんに加えて、リードインベスターのSTRIVEの中で出資先の広報サポートをされている田原さんにも大変お世話になりました。BRIDGEやTechCrunchに加えて、日本経済新聞社やCNET Japanなど様々なメディアでも取り上げていただけたのは、間違いなくこの方々のサポートのおかげでした。
編集の都合で残念ながら記事化はされなかったものの、取材を受けるということで新たに繋がりができたメディアも結構ありました。この繋がりも、今後のための強力な資産になりました。
昨今、多くのベンチャーキャピタルでは、スタートアップへの資金提供と経営助言だけでなく、出資先に対して様々な実務的なサポートをされています。ありがたいことに弊社に対しても、とても強力なVCが普段からサポートしてくれています。例えば、人材紹介ではインキュベイトファンドさんが、大手企業の紹介ではスカイランドベンチャーズさんが支援してくださっています。
そして今回の『調達ブースト広報』では新たにSTRIVEさんがサポートしてくださいました。そもそも弊社に広報専属社員がおらず、ケイパビリティが手薄な領域だったので、本当に助かりました。
さらに『調達ブースト広報』で人材採用に力を入れたいとスカイランドベンチャーズ木下さんに相談したところ、採用で使える特設サイトをSTUDIOでプレゼントしてくれました。
特設サイトだけでなく、コンテンツとして採用動画まで制作していただけました。多くの従業員が登場する素敵な採用動画に仕上げてくださり、本当に感謝です。
これから出資を受けられるスタートアップの皆さんは、このようなVCによるサポートについても、考慮に入れられると良いと思います。
なお動画については、撮影・編集いただいた方のプロ意識がとても高く、納得いかないカットがあるとのことで別日に再収録したいと来社されたこともありました。収録日のロジ周りの調整が結構大変でしたので、社内やメンバーのことをよく知っている古株社員やシニア社員を担当に付けられるとスムーズに行くと思います。
KPI数値などファクトを整理して提供する
『調達ブースト広報』ではありがたいことに同時期に多くのメディアの方から取材をしていただけました。その際、こちらから提示する業績データやKPI数値については、取材を受ける全メディアで統一すべきだとSTRIVEの田原さんからアドバイスを受けました。確かにお話するメディアによって数値がコロコロ変わるのは、それが世に出たときに印象がよくありません。
そこで弊社でも公開できる数値とできない数値を切り分け、公開できるものはグラフ化したりしてなるべくメディアの方が理解しやすいように工夫しました。また取材の後はお礼メールとともに改めてその数値データも提供するようにしました。
広報専門でやってこられた方にとっては、このようなことは基本的で書くまでもない当然の動きかもしれません。ですが、僕らにとっては新たな学びでしたので、僕らのように広報経験の浅いスタートアップの参考になれば嬉しいです。
採用特化のPitch Deckを作成する
資金調達活動で投資家向けに使ったPitch Deckや、買い手を開拓するための営業資料は既にありました。しかし人材採用目的に特化したものがありませんでした。そこで、これを機に採用特化版Pitch Deckを作成することにしました。
まずは会社全体の採用Pitch Deckを代表の及川と僕で作り込み、それを元にM&Aアドバイザー採用に特化したものをMACAP(M&A Cloud Advisory Partners)に、エンジニア採用に特化したものをCTO荒井に作成してもらいました。
ぜひご覧いただいて、応募を検討いただけると嬉しいです。
カジュアル面談をMeetyの特集で仕込む
カジュアル面談の募集はMeetyを利用することにしました。Meetyには、6名以上でカジュアル面談を作成すると、無料でそれらをまとめた特集ページを制作いただけるサービスがあるとMeetyの中村拓哉社長に教えていただきました。
そこで、CEO及川、CFO村上、CTO荒井の3名と、HR、法務、そして経企の僕の合計6名でまずはカジュアル面談を作成しました。バナーはすべて僕から指定し、全体に統一感を持たせました。

そして、資金調達発表日である10月27日に特集ページを公開いただくことと当該ページのアイキャッチバナーに「10億円調達」と記載いただくことを、ダメ元で中村拓哉社長にTwitter DMでお願いしたところ、ご快諾いただけまして、めでたくMeetyの特集ページも同日にオープンすることができました。
発表前日に確認会を行う
資金調達ニュースの発表前日、10月26日の朝に代表の及川も加えて『調達ブースト広報』チームで直前の確認会を行いました。これが結構役立ちました。システム開発やサービス開発などと同様、リリース直前になってから要件が膨らむというのは『調達ブースト広報』でも同じくあるあるでした。
十分準備していたつもりでも、この確認会では「これもやった方が良いのではないか?」とか「これは誰がやるかまだ決めてなかったのではないか?」というような話がポロポロと出てきました。経験豊富な広報社員がいる会社にとっては信じられない事かもしれません。
ただ、専属広報がいない中で手探りでやってきた僕らにとっては、この確認会はかなり役立ちました。次章以降で説明する『調達ブースト広報のしおり』のアイデアや、CxOのTweet文を専門家にレビューしてもらうというのも、この確認会で出てきたものでした。
案外、直前でないと思いつかない見落としや考慮漏れがあるというのが分かったので、皆様にもぜひ発表直前の確認会開催をお勧めいたします。
発表当日の社員の動き方も決めてシェアする
資金調達ニュースの発表当日、社員がどのように動けばよいのか、ある程度の指針を提示しておきました。これが結構役立ちました。足並みを揃えておかないと散発的な拡散になってしまってもったいなので、社員のみんなには「深夜0時にこのメディアからニュースが出るので、起きてる人はこのように振る舞ってください。翌朝はPR TIMESからこう出るので、こう振る舞ってください。」というような流れを伝えました。
やり方としては、まずは代表の及川から全員に「いよいよ明日発表です!」とテンションを上げるお祭り感あるメッセージを出してもらって注目を集めてから、詳細な動き方を僕から『調達ブースト広報のしおり』として全社員が参加するSlackチャンネルにポストしました。

結構みんな興味を持ってくれて、この『調達ブースト広報のしおり』のポストにもレスが47件つくなど、みんなで協力して盛り上げてくれたので助かりました。
SNSシェアするWebサイトと時間帯を予め決めておく
自社に関わる何らかの記事がWebで公開されたら、社員のみんなにSNSシェアをお願いすることはよくあると思います。今回は、そのシェアするWebサイトを時間帯別に予め決めて、前述の『調達ブースト広報のしおり』で社員のみんなに伝えておきました。これは、短い期間で集中的に当該Webサイトが拡散されることにより、その効果を少しでも大きくしたいと思ったからです。
例えば、日付が変わる深夜0時に日経電子版のWebサイトで資金調達ニュースが公開される予定でしたので、その時間帯は日経のWebサイトのシェアに専念してもらい、翌朝9時のPR TIMESのリリースからは、もう日経電子版のWebサイトのシェアは行わず、PR TIMESのリリースだけをシェアするようにお願いしていました。
また、時間帯だけではなく、誰がシェアするのかもそれぞれ決めておきました。とにかく全員でシェアするのか、CxOだけでよいのか、あるいは関係者だけなのか、というようなことも『調達ブースト広報のしおり』に記載しました。
CxOはTweetのレビューも専門家に依頼する
PR TIMESのプレスリリースをTwitterでシェアする際の140文字以内の文言についても、CxOに限っては外部の専門家から事前にレビューしてもらうようにしました。なるべくエモい表現にしてもらって、今後の採用広報につながるような、そしてあわよくばバズるような文言でPR TIMESの記事をTweetしてもらいたい。そんな要望をCxOには出していました。
ただこれはかなり難易度が高い要件ですので、普段から弊社のブランディングの支援をしていただいているブランドコンサルの株式会社NORTH AND SOUTHの力をお借りしました。

普段から色々とアドバイスをしていただいているので、『調達ブースト広報』で僕らがやりたいことの意図を汲み取ったレビューをガッツリしていただけて助かりました。例えば上記レビューによってCTO荒井のTweet文面はこのように変わりました。
この資金調達でM&Aクラウドはマッチングプラットフォームから総合的にM&A、資金調達を支援できるM&Aプラットフォームへと進化していきます!
↓ レビュー後
年間1万件のM&A創出するM&Aプラットフォームを目指して、テクノロジーとデータに投資していきます!エンジニア求む!
プロダクトのビジョンを数値込で具体的に表現した上で、どういう人材を求めているのかが明確化されました。細かい変更ではありますが、細部にこだわることの積み重ねが重要なので、このレビューはやって良かったと思います。
プレスリリースの写真品質にこだわる
PR TIMESでOGPになるメイン画像にもこだわりました。スタートアップらしい写真としては、お揃いのTシャツをやパーカーを着て、屋外でみんなでワイワイしている写真をよく見ます。当初は僕らもそれを検討しました。
しかし、前述のブランドコンサルの方に相談したところ、今回のプレスリリースで言及のある「事業承継M&A」の文脈であったり、M&Aクラウドとしての事業ステージを考慮して、あえて真面目でシックな(悪く言えば何の面白みもない)写真にした方が逆に良いのではないかとの指摘があり、その方向性に舵を切りました。最終的に行き着いたのがこの写真です。

左からCFO、CEO、COO、CTOでCxOを勢揃いさせました。それぞれのキャラ・ブランディングに合わせて服装も指定しました。CFO村上は専門家っぽくそれでいて堅すぎないように、CEO及川は起業家っぽいビジネスカジュアルで、COO前川はカッチリしたスーツで、CTO荒井はエンジニアらしくという感じです。今思えばCTO荒井のTシャツは、もう少しふざけてもよかったかもしれません。

後述するCxO個人note記事のバナー用にソロカットも撮影しておきました。カメラマンは雑誌Forbesも担当されている株式会社symphonicの小田さんにお願いしました。僕らの目指したい姿をカッコ良く表現してくれまして、後述の投資家対談の写真も合わせて、めちゃくちゃ気に入っています。
反省点があるとすれば、noteのバナー画像(1280x670の縦横比)として使いたい写真がある旨を伝えていなかったことです。縦長ポートレートとしてはめちゃくちゃカッコ良い写真も、被写体の左右両方に背景がない状態だと横長のバナー画像に引き伸ばすことができません。
最終的には下記のように、左右どちらか片側だけでも背景があるポートレートを選び、背景がある側だけ横長に引き伸ばし、不自然に広がった背景部分には文字列を入れることで何とか対応しました。

皆様もnoteバナーとしての利用も想定したポートレート撮影をプロに依頼する際には、この点は忘れずにお伝えされると良いと思います。後述する投資家対談企画の写真からはこの点も考慮を入れて撮っていただいたので、自然な形で仕上げていただけました。

当日は数値を社内に実況中継してお祭り感に巻き込む
そもそもスタートアップによる資金調達活動や投資家によるDDへの対応は、経営陣ならびにコーポレート部門の一部従業員のみであたることが多いと思います。一般社員にとっては「知らないところで行われている知らない活動」です。全社員を巻き込んで『調達ブースト広報』を盛り上げていくには、何らかの仕掛けや工夫が必要でした。そこで、Slackを活用してお祭り感を演出することに力を入れてみました。
今回、これが社員を巻き込むのにかなり効果的だったというのは新たな学びでした。幸い弊社には"1 Team"文化があり、加えてお祭り的なものは「なんだか知らないがとりあえず盛り上げる」という人が多くいます。要するに斜に構えた白けた人があまりいないという、スタートアップらしい文化だったのが良かったです。
投資家の皆さんにも事前にPR TIMESのURLを展開してSNS拡散をお願いしていたこともあり、発表日の朝はPR TIMESの旬速で5位に入ることができ、さっそく全社員にSlackでシェアしてお祭り感を演出しました。

また、PR TIMESのPVランキングもウォッチしておき、17位から12位に上がったときにも、大げさに大騒ぎしました。

また、Slack上のエゴサチャンネルが今回はすごく良かったと思います。弊社ではZapierを使って「M&Aクラウド」というキーワードがTwitterでつぶやかれたときに、そのTweetをSlackのエゴサチャンネルに流しています。10月27日の発表当日は普段ではありえない速さでそのTLが流れていました。
これを眺めているだけでも「何か凄いことが起こっているかもしれない」と思える程でしたから、お祭り感を出すために皆様にもぜひお勧めします。
PR TIMESのランキングでは最終的に『SNSで話題』で2位を獲得することができました。あと少しで1位でしたが、今回はトップが強すぎました。

ただ、toCビジネスでもない、一般の人にはほぼ関係ないといういちM&A事業者の資金調達ニュースが、全プレスリリースの中で2位を獲得できたというのは、ある意味快挙です。色々と準備をしてきたことが実を結んで良かったと思っています。
注目度を維持するためにCxOからの発信を連発する
普通はプレスリリース発表日が注目度のピークで、何もしないと翌日以降はすっかり忘れ去られてしまいます。発表日の注目度を少しでも維持し、減衰曲線をゆるやかにすることを狙って、発表から3日間に渡ってCxOの個人noteで連日発信してもらいました。
発表日はCEO及川が資金調達の狙いを語り、翌日にCFO村上が今回の資金調達スキームを専門家らしく語り、翌々日にCTO荒井がプロダクトの未来について語りました。noteのバナー用にそれぞれのソロ写真も撮影しておきました。
各記事では採用についても漏れなく言及してもらい、内容についてはブランドコンサルの株式会社NORTH AND SOUTHによるレビューを経てからリリースしました。忙しい中、CxOが自分で数千文字の原稿を書くのは大変なので、そこは『調達ブースト広報』チームの優秀なるライターがサポートしました。
CxO同士でスキ数を競い合っていたので、劣勢だったCTOの荒井がなりふり構わず従業員に「スキしてください!」とお願いしていたのが面白かったです。
発表直後のイベントスポンサーになる
Startups Selection Tokyoを運営しているOKPRさんから、リアル・オンラインのハイブリッド型イベントを、11月1日の夜に渋谷のPlug and Play Japanで開催するとのご連絡をいただきました。
開催日が僕らの資金調達発表直後で、かなり相乗効果がありそうでしたので、プログラムの内容を総合的に判断して僕らも支援させていただくことにしました。

当日はセッションの時間も持たせていただきまして、僕らの資金調達についてだけでなく、スタートアップM&Aに関する最新動向やそれに対してどのような取り組みをしているのかを代表の及川からお話ししました。
オンライン上の活動だけでなく、このようなリアルの場でお披露目の機会が得られたことは幸運でした。この頃はまだ希少でしたが、これからどんどんリアルイベントは増えてくると思いますので、『調達ブースト広報』活動中に、自社に適したリアルイベントがないかをチェックされるのも良いと思います。
投資家を巻き込んで自社のニュースをさらに広げる
CTOの荒井がCxOシリーズ最後の記事を個人noteで公開した日の夜に、僕からはこの記事をUpdate M&Aクラウドでリリースしました。
記事にもあるように、投資家対談シリーズの目的は情報の非対称性を解消し資金調達をもっとオープンにしたいという事がひとつ。あとは、あわよくば資金調達ニュースによる注目度を維持し、減衰曲線を緩やかにすることで、僕らが積極採用をしているという事をなるべく多くの方に知ってもらいたいという目的もありました。
投資家対談シリーズ全体で写真の統一感を演出するため、記事に掲載する投資家との対談写真もプレスリリースのときと同じく株式会社symphonicの小田さんにお願いしました。下記写真はSTRIVEの四方さんとの撮影シーンです。

スタジオコストの節約のためになるべく同日に投資家の皆さんが集える日を調整する作業がかなり大変だったので、もし同じような企画を今後されるスタートアップの皆様は余裕を持ってスケジュール調整をされると良いと思います。
最終的には何とか以下の記事をすべてリリースすることができ、この企画を形にすることができてよかったと思います。
11/01 インキュベイトファンド General Partner 本間真彦 氏
11/05 スカイランドベンチャーズ CEO・パートナー 木下慶彦 氏
11/08 STRIVE インベストメントマネージャー 四方智之 氏
11/12 SMBCベンチャーキャピタル 投資営業第一部 中野哲治 氏
11/15 博報堂DYベンチャーズ マネージングパートナー/取締役COO 武田紘典 氏
11/19 MS-Japan 代表取締役社長 有本隆浩 氏、常務取締役 藤江眞之 氏
11/22 NORTH AND SOUTH Founder 北尾昌大 氏、Founder 南坊泰司 氏
実は上記対談記事のうち自社メディアであるUpdate M&Aクラウドに掲載したものは11/12のSMBCベンチャーキャピタル様以降4つで、序盤のインキュベイトファンド様、スカイランドベンチャーズ様、STRIVE様の3社は先方のメディアでの掲載をお願いいたしました。その方が、普段僕らがアクセスできていない方へアプローチでき、効果的に認知拡大できる可能性があるためです。また、僕らに対する信頼感も醸成できるというメリットもあります。
日経新聞やスタートアップメディアだけでなく、VC各社が運営するオウンドメディアも含めて、なるべく外部のメディアを積極的に活用するというは今回注力した点でした。今回僕らのわがままを快く聞いてくださった投資家の皆様には大変感謝しています。
『調達ブースト広報』の波及効果を社内確認する
ある程度この活動が落ち着いてから、今回の『調達ブースト広報』によって何かポジティブな影響が具体的にあったかどうかを社内で確認しました。新規の買い手から声がかかったとか、会社を売りたいと相談があったとか、そういう業績に対するポジティブな波及効果がもしあったら僕らとしても最高です。
そこで、役員を含む全従業員に『調達ブースト広報』の効果をヒアリングしてみたところ、大変ありがたいことに、以下のような返答が返ってきました。
「売却想定額2桁億円を超える売却相談が来た」(経営陣)
「銀行や会計事務所からアライアンスの話が来た」(経企)
「久しぶりにスタートアップ界隈の会計士仲間から連絡が来て情報交換する機会ができた」(財務)
「投資家が動いて買い手候補を複数社つないでくれた」(経営陣)
「投資家対談を読んで誇らしく思いやる気が出た」(エンジニア)
「記事を見た複数の買い手候補から商談依頼があった。しかも単なる情報収集ではなくうちのサービスをしっかり調べていてホットな見込み客だった」(営業)
「売り手と面談した際に『リリース見ました。凄いですね!』と言われた」(カスタマーサクセス)
「人材エージェントの方が、深夜に記事を見て『資金調達おめでとうございます!』とメッセージをくれた」(HR)
これは僕ら『調達ブースト広報』チームがうれしいというだけにとどまりません。Slack上の全社員が見えるところでこのヒアリングをしたので、ポジティブな効果を体験した当事者だけでなく、他の従業員に対してもインナーブランディングとして『調達ブースト広報』の有効性を認知してもらうことができました。
最後にこれをノウハウとして公開する(このnote)
僕らが今回やった『調達ブースト広報』の内容は、だいたい今回の記事で網羅できたと思います。もちろん細かい作業は他にもあったかもしれません。また、ノウハウというほど大した内容ではなかったかもしれません。
しかし、これが少しでも皆様の参考になって、多くのスタートアップが今後の資金調達に伴って実施する『調達ブースト広報』が盛り上がってくれたら、こんなに嬉しいことはありません。市場が盛り上がれば資金調達するスタートアップも増え、エコノミクスがどんどん大きくなります。ひいてはM&Aクラウドの主戦場であるスタートアップM&A市場が大きく成長してくれたら最高です。
昨今は珍しいことではないとはいえ、スタートアップにとって資金調達発表時は依然として世の中の多くの方から注目される数少ないタイミングのひとつだと思います。『スター状態』だと思います。せっかく取ったスターですから、恥ずかしいくらいに活用して、距離を稼いだり強敵にぶつかったりしたら良いと思います。ぜひ一緒にこのスタートアップエコシステムを盛り上げていきましょう!
今回の成果はどうだったのか?
『調達ブースト広報』でどれくらいの人にM&Aクラウドの認知が広がったかを直接計測することは難しいので、僕らはGoogle検索で"M&Aクラウド"と社名で指名検索してくれた数をウォッチすることにしました。

これは"M&Aクラウド"と指名検索してくれて表示されたインプレッション数の日次推移で、2021年10月1日から11月19日までの抜粋です。実数は出せませんが、相対的な変化は見て取れるかと思います。タイムゾーンの違いで日本時間とは少しずれている点はご了承ください。
『調達ブースト広報』の発表日(10/26深夜の日経電子版掲載から翌10/27のPR TIMES配信)に突出して"M&Aクラウド"が検索されました。発表からの3日間に加えて、投資家対談シリーズ第一弾(インキュベイトファンド)のリリース日である11/1にも山を作ることができ、一定の成果は得られたと思います。ただ、公開3週目の11/8以降の山についても、10月よりは大きくなっているものの、もう少し大きくしたかったというのは正直あるので、次回以降の課題にしたいと思っています。
TODOリストを共有します
最後にちょっと恥ずかしいですが、僕らが『採用ブースト広報』でやったTODOリストを共有します。ここに書いてあることを各社でアレンジしながら実施していけば、一通り『調達ブースト広報』としての形ができあがるかと思います。
もちろん、スタートアップによっては実施しないタスクもあるでしょうし、逆に僕らがやっていない独自の活動をされる場合もあると思います。とはいえゼロから考えるのは大変ですし時間がもったいないですから、ひとつのたたき台として、時間短縮のためにご活用いただけたら幸いです。
おわりに
思いのほか長い文章になってしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。もし、わかりにくい箇所等がありましたら、なるべくお答えいたしますので、直接お問い合わせやコメントをお寄せください。
今思えば、今回の『調達ブースト広報』で僕らは自社に広報専属社員がいない中で『M&Aマッチングスタートアップによる大型資金調達のPR効果最大化』という、あまり馴染みのないテーマを扱いました。
それにもかかわらず、最終的にそれなりに形にできたのは、たまたま僕がこれまでスタートアップのM&AやPMIの現場に当事者として関わってきた経験や、CVCのベンチャーキャピタリストとしてスタートアップ投資に数年携わったことで得ていた様々なネットワークやナレッジが助けになった一面もあります。とは言え、外部内部問わず、今回のプロジェクトを通じて多くの方々から貴重なご意見やサポートをいただきました。このサポートなしに今回の『調達ブースト広報』は走り抜けられなかったと思います。この場をお借りして皆様に御礼申し上げます。
この記事が参考になった方はぜひスキをしていただいたり、TwitterやFacebookなどでシェアしていただけたら最高にうれしいです。ありがとうございました。
『調達ブースト広報』の予算
プレスリリース 約3万円
写真撮影編集(経営陣・投資会談全部)・イベント出稿・PR支援・ブランディング支援 約150万円
採用特設サイト・動画制作 0円(スカイランドベンチャーズ様負担)
情け容赦なく確保した社長の時間 40%
本プロジェクト専任 2名
追記:「調達ブースト広報」後の「採用ブースト」をどう進めたか
「調達後ブースト広報」から間もなく1年となる2022年9月、「調達後ブースト広報」で獲得した認知をベースに、当社はどのように採用ブーストを進めてきたのかを振り返る記事をまとめました。
採用のプロのアドバイスに学びながら、試行錯誤を繰り返してきた当社の経験をもとに、スタートアップの採用活動に役立ちそうな5つのTipsも紹介していますので、ぜひご一読ください!
積極採用中
M&Aクラウドでは今回調達した10億円を使って、会社を一緒に大きく成長させてくれる仲間を募集しています!
記事にも書いたように専属の広報社員がいないなど、色んな所で人が全然足りておりません。ぜひお気軽にご連絡くださると嬉しいです!