
【MACAPメンバー紹介】岸貴大 | 大手証券投資銀行部門出身
皆さんこんにちは。経営企画本部の藤原です。M&A Cloud Advisory Partners(以下、MACAP)は、投資銀行や総合商社出身のプロフェッショナルが集まり、M&Aや資金調達の領域で一丸となってクライアントを支援いたしております。
本企画では、大企業からM&Aクラウドに転じ、M&Aアドバイザリー業務に携わることを選んだ弊社参画メンバーについて、順次ご紹介させていただきます。
人材募集中
MACAPでは新しい仲間を募集中です!ぜひチェックしてみてください。
今回紹介するMACAPメンバー
岸 貴大(Takahiro Kishi)
2015年、みずほ証券に入社。投資銀行部門にて、PEファンドをクライアントとした法人営業を行い、M&A及びIPOのオリジネーションを担当。その後、M&Aアドバイザリー部に異動し、化学、自動車・機械業界、その他中小型案件に対するM&Aアドバイザリー業務に従事。
慶應義塾大学経済学部卒
インタビュー動画
動画の視聴が難しい場合は岸による下記の自己紹介記事もぜひご覧ください。
これまでの経歴
当社に入社する前は、みずほ証券で投資銀行業務を行っておりました。入社直後は、法人営業の部署に配属となり、主にPEファンドをお客様として担当をし、その後、M&Aアドバイザリー部に異動となり、M&Aの執行業務を担当しました。
投資銀行では入社当時から「IPOもM&Aも案件獲得から執行までわかるバンカーになる」という目標を掲げ、新卒時代はただがむしゃらにいろいろなものを吸収しようと心がけておりました。環境としては銀行系証券ということもあり、案件数は多く、とてもいい経験を積ませていただきました。そのおかげで少しでも目標に近づくことができたのではないかと思っております。
入社後間もなくして、PEファンドをお客様として法人営業を行う部署に配属となり、案件発掘から案件執行までサポートしました。他の事業会社の法人営業と大きく違い、PEファンドの特徴として、業種が一つに定まらないという点があります。彼らが投資する先は、様々な業種の様々な企業になり、業界知識を広くカバーしなくてはいけなくなります。
業種が違えば売手企業の持つ悩みや課題もそれぞれ違いますので、それらを踏まえたうえで、スキームをどう組むべきか、どのようなロールアップが可能か、業態としてファイナンスがどれくらいつきそうか…など様々な論点を考慮した上で提案・投資検討のサポートを行うことになります。
PEファンドは投資銀行やコンサル、事業会社での投資部隊などでM&Aや戦略立案のプロだった方々が集まっているため、ほとんど新卒と変わりない、何もわからない小僧が訪問しても相手にしてくれないのではないかという不安がありました。そんな投資のプロの方々に対して、少しでも役に立てるように、そして呆れられて使い物にならないと言われないように、日々いろんなものを吸収してきました。
IPO案件で自信を付け、M&A部隊へ異動
自分を大きく変えたのが、グローバルIPOの案件でした。それまで提案は複数行っておりましたが、実務という意味では初めての経験でした。先輩方と提案用のエクイティストーリーのブラッシュアップからオファリング・アロケーション戦略、投資家ロードショーの周り方に至るまで議論し、みっちりと案件に携わることができました。
右も左もわからない状況で先輩がいなかったら成しえなかったディールでしたが、それでも確実に自分の経験、自信として残りました。その後も数件のグローバルIPOの実行に参画させていただき、微力ながら多少なりともマシな仕事はできるようになりました。
その後、兼ねてより希望していたM&Aの執行部隊に異動となりました。異動先では、化学、自動車・機械を担当業界としつつも、業種を定めない中小型案件も幅広く行っており、法人営業の時から引き続き、複数案件に携わることができました。
アドバイザーとして執行実務は、多くの案件に携われば携われただけ経験値になります。さらに検討すべき論点が多ければ多いほど、自分のスキルアップにつながります。これは投資銀行に限らず、どこにいても不変であると信じて、今後も案件にご一緒させていただく中で自己研鑽に励みたいと考えています。
M&A Cloud Advisory Partnersへ参画した理由
私がM&A Cloud Advisory Partners(MACAP)に参画しようと思った理由の一つとして、証券会社でM&Aを支援させてもらう中で、歯がゆい思いをしたことが背景にあります。
投資銀行に入社した当時は、「大きい案件に携わりたい」、「社会的に貢献できるような案件をやりたい」、「新聞の一面になるような案件に携わりたい」という思いを持っておりました。実際、私が在籍していた時期がよかったこともあり、新聞の一面になるような案件がそこそこあったように記憶しております。そのような環境は希望していた通りでもあり、とてもやりがいがある職場でした。
しかし、その中で気づいた点として、大企業であるが故の制約でした。大きな案件に携わることができる反面、投資銀行で扱える規模には下限があり、小規模案件についてはどうしても扱えないものありました。
M&A市場の全体を見てみると、株式会社レコフが運営するMARR Onlineにて公表された「2020年のM&A回顧(2020年1-12月の日本企業のM&A動向)」の中で、2020年の日本企業がかかわるM&A案件の全体総数は3,730件、国内案件(In-In)は2,944件。そのうち、スタートアップのM&Aは1,051件(国内案件の35.7%)、事業承継系の案件は607件(同20.6%)を占めます。
出所: MARR Online「2020年のM&A回顧(2020年1-12月の日本企業のM&A動向)」を基に作成
100億円超の国内案件は僅か22件(出所:M&A Online)であり、ほとんどが100億円未満ということになります。
このマス層である小規模M&Aを扱う事業者は、M&A仲介、会計系のアドバイザリーサービスファーム、個人アドバイザー等であり、彼らにもそれぞれ案件規模の下限があります。どこもアドバイザーとして付けられない案件規模になると、自身がM&Aの執行実務を行わなければなりません。
それまでM&Aを行った経験がある方ならともかく、事業家として、または技術者として活躍してきた方で、全くM&Aとは縁のなかった方からすると、かなりハードルの高い。こういう取引にこそ、本来アドバイザーが付くべき、または何かしら気軽に相談を持ち掛けられるようにしておくべきなのではないかと感じました。
M&AクラウドではM&Aのマッチングプラットフォームを有し、案件規模に隔たりなく取引ができることや相談できる窓口があることをはじめ、中小M&Aの課題を解決できる可能性を秘めていると感じました。
加えて、社会全体的にDX化の流れにある一方、旧来のM&A業界のDX化は遅れており、効率的とは言えない状況にあります。M&AクラウドはM&Aプラットフォーマーであると同時に、ITスタートアップでもあり、M&AのDXを実現できる存在だと感じています。
今後成し遂げたいこと
M&Aの業務に携わって感じたのが、効率化の難しさでした。Due DiligenceにおけるQ&Aの一つをとっても、アドバイザーとして質問の中身を確認し、初期的に回答案を作成したうえでお客様にお出しするなど、横流しにするだけにはならないように気を付けたり、契約交渉などはそれぞれの状況による持ち出し方と着地点を見つけながらお話ししたり、とアドバイザーによる経験と作業が必要になってくる部分が多いため、自動化可能な作業と人が介在すべき作業の切り分けが容易ではありません。
一方、中小M&Aに対しては活性化を目的として、2020年9月に中小企業庁より、「中小M&Aハンドブック」が公表されております。
すべての中小M&Aがアドバイザーを付けているというわけではないですが、少なくともそれに対応するための受け皿が必要であると考えております。
現在、M&Aクラウドが提供するM&Aマッチングプラットフォームは、売手と買手が直接やり取りをできるダイレクトマッチングを行っており、M&Aのプロセスにおける買手/売手の発掘という部分を効率化していると言えます。
その他の部分については人が介在することで解決する部分も多くあり、DXと呼ぶにはまだまだこれから。今後、アドバイザーとして職務を遂行していく中で、より品質の高いアドバイスを提供していくことを目的として、効率化可能な部分を探し出し、DX化と呼べるような仕組みをエンジニアの方々とともに考えていきたいです。